第14弾 水口 和紀

アーティストルームのNo.14は「城」をテーマに画家の水口和紀さんが2015年3月4日から制作をスタート、ホテルに滞在したり通ったりしながら454日にわたり制作をし(※注)、2016年5月31日に完成いたしました。
「ホテルという非日常の空間に、時間を超える別世界を描きたかった」という水口さん。制作前に日本各地の城を取材し、当初は青空に映える屋根瓦を緑青(ろくしょう)で表現する予定でしたが、実際にホテルに滞在して制作を進めていく過程で本人のイメージが変化していったため、描き直しをしたいと申し出があり、ホテルチームとアーティストの間で話し合いを続け、制作中の7月にそれまでの壁面を塗りつぶし、黒地に白の線描で現在は焼失している江戸城を描きました。
石垣を模した入り口を抜けると、正面のヘッドボードに金色の鯱を頂く天守閣が描かれています。ベッドをぐるりと囲むように城壁やお堀が描かれ、反対側の壁は、諸藩の大名を迎え入れたであろう大広間が金箔で表現されました。またこの部屋のもう一つの見所は夜。夜カーテンを開けると客室内がガラスに映りこみ、ちょうど皇居のある方角にお城が浮かび上がる様を見ることができます。
アーティストルーム「城」で、日本の歴史、美意識に思いを馳せていただければ幸いです。

(注:制作スタートからの日数で、中には制作をお休みしている日もありました)

Room #3115  |  完成:2016.05

Artist’s Message

康正3年(1457年)太田道灌によって築城された江戸城はその後、徳川家によって広大な縄張りをもつ日本一の城郭になりました。中でも寛永15年(1638年)に完成した三代目の天守閣は当時最大の木造建築でした。残念ながら明暦3年(1657年)の大火で焼失、その後再建されることはありませんでした。
この部屋を訪れた方には江戸時代の城郭の存在感を感じて頂ければと思います。夜カーテンを開けるとちょうど江戸城(皇居)のある方角にお城が浮かび上がります。栄えるものは衰退し、形あるものは消えていく。目の前の景色は現実か幻か、陽炎のように儚く立ち上る一瞬の現象に過ぎないのか。私は無常の世界観を愛します。

水口 和紀

“日本の美意識が体感できる時空間”

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