俳句

第23弾 藤波 理恵子

「俳句」をテーマにアメリカ在住の美術家、藤浪理恵子さんが2016年5月14日から制作をスタートし、ホテルに滞在しながら約2か月間制作を続け、2016年7月11日に完成いたしました。

そっとつぶやくように瞬間を切り取り、永遠を短い一説に結晶化した俳句は、“HAIKU”として愛され、現在多くの国で創作されています。「心に浮かんでくる言葉が言語を超えて、ここで過ごされる方々の心に、それぞれの俳句が去来することを願って制作しました」という藤浪さん。自己の思想・感情を主体として表現するものでなく、自然の中の微妙な情景-時、光、香り、空気の移り変わり、音、そしてその中に身を置く自分自身を5、7、5の音節に託す俳句の世界観を表したお部屋を制作しました。

アーティストルームでは初めてとなる映像と音を用いた装飾。幻想的な音と共に、壁に映し出された池に鯉が泳ぎます。流れるように変化する色彩。ベッドの周りにはぐるりと蓮の絵が描かれ、横たわり天を仰げば、そこには漆黒に浮かぶ天の川が。窓の横には銀色に輝く月と、芭蕉の句「月ぞしるべこなたへ入らせ旅の宿」が書かれています。高層31階の客室に広がる自然の中、俳人の気持ちを知り、一句詠んでみてはいかがでしょうか。

アーティストルーム「俳句」では、刻一刻と変わりゆく光と影の中で、俳句の世界を体感いただけます。

Room #3102  |  完成:2016.07

Artist’s Message

俳句、世界で最も短い詩の形態です。前段5つ、中段7つ、終段5つの音節で構成され、季語と呼ばれる季節を象徴する言葉を含むというルールがあります。自己の思考・感情を主体として表現するのではなく、自然の中の微妙な情景―時、光、香り、空気の移り変わり、音、そしてその中に身を置く自分自身を、5・7・5の音節に託す。瞬間を切り取り、永遠を短い一節に結晶化する。しかし、そこには、特段の気負いはなく、心に浮かぶ言葉をそっとつぶやくように表す俳句は、英語圏でも愛され、現在多くの“HAIKU”が作られています。
蓮池に踊る魚影と漆黒に浮かぶ天の川を創り“月に導かれて訪れた、旅の宿”という意味の芭蕉の俳句と月を壁に共に描き入れ一つの世界としました。
この部屋で、文化の違いを超え、吐息のように心に浮かんでくる言葉が言語を超えてここで過ごされる方々の心にそれぞれの俳句が去来することを願って制作いたしました。

藤浪 理恵子

“日本の美意識が体感できる時空間”

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