山水

第12弾 山田 純嗣

刮目せよ。これが21世紀の「山水図」だ。

「部屋から見る無数のビル群が時間や季節の移ろいとともに表情を変え、一瞬も同じ風景がないことにインスパイアされた」という山田さん。この部屋に描かれたのは、大阪・金剛寺の≪日月山水図屏風≫をモチーフとした、時間の流れとともに変化し、おぼろに光る山水画です。※注1
遠くから見れば山の稜線が見える壁に、近づいてみれば無数の動物たちが住む。昼の光に照らされて桜が見える春の壁があれば、夕方の光で紅葉に染まる秋の壁がある。夜の松林は冷たく光る雪で覆われ、朝の夏の光はどこまでも眩しい。
山と海、昼と夜、そして春夏秋冬が収められた一隻の屏風のように美しい部屋。 「アーティストルーム 山水」で、壁の作品とともにごゆっくりとお過ごしください。

注1:下地を塗った壁に鉛筆で作画した後、様々な色で部分的にコーティングすることに より、光の加減で見え方の異なる壁を作り上げました。

Room #3109  |  完成:2015.03

Artist’s Message

この部屋から望む東京の無数のビル群は、そのディテール一つ一つに密度があり、じっくり眺めていると、そこに人々の営みを感じるうえに、時間や季節の移ろいとともに表情も変え、一瞬も同じ風景がないことに、つい時間を忘れて見とれてしまいます。このことが私にインスピレーションを与えました。
中国に始まる東洋画の一部門である山水画は、普遍的な自然の姿を描いたものです。今回、山水をテーマにこの部屋に描いたのは、大阪の金剛寺にある《日月山水図屏風》をモチーフとしたものです。《日月山水図屏風》は、日本固有のやまと絵形式で描かれた風景画ですが、特定の場所を描いたものではなく、画家の胸中に浮かぶ日本の風景——神々の宿りとしての山や森、滝、海原を、昼と夜、四季とともに一双の屏風に収めたものです。折り目のある屏風は、縁側の横から入る自然の光や、夜の蝋燭の光に照らされ、自然と一体になって豊かな表情を見せたことでしょう。このことを手がかりに、窓の外の豊かな風景と一体となって呼応する様な作品をめざし、全体と細部の表情の違いや、時間による見え方の変化にこだわって描きました。

山田 純嗣

“日本の美意識が体感できる時空間”

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