作家、木村浩之さんのメイン作風である「相撲」をモチーフに
日本国技である伝統の部分を丁寧かつユーモラスに描き、
ホテル既存の客室に直接筆を下す「一発勝負」の緊張感から生まれる、
アーティストの作風を尊重する新たな取り組みとなりました。
Room #3123 | 完成:2012.12
相撲は日本の国技ですが、単なるスポーツではなく、日本人にとってもっと特別なものです。
例えば相撲の基本運動の四股は、地中に住む悪いものを踏みつけ、実りのある土地になるよう願いをこめる意味があります。
地に足を着け農作物を育て、腰を据えて生きてきた姿が四股になっています。
また力士に赤ちゃんを抱いてもらい、健やかに育つように願う慣習があります。
健康や、福を象徴する力士に抱いてもらうことで、子孫繁栄を願った儀式です。
このように相撲の所作や習慣にはひとつひとつ意味が込められており、
競技だけではなく人々の発展を願った儀式でもあると言えます。
昔の日本人が厳しい自然の中で自らの体ひとつで健やかに生きていく為の知恵が相撲に込められており、
だからこそ大切な土地を水や塩で清め、地面を固め、末永く元気でいられるよう相撲を取ります。
相撲は自然に対する感謝と人々の繁栄を願う、日本の形なのです。
私は日日の稽古をスケッチし、また自らも相撲を取り、相撲のすべてを肌で感じながら制作しております。
日本の文化を凝縮した相撲の中にある万感の思いを絵画やテラコッタに託してみたい。
土俵に生きる力士の輝きを感じて頂ければ幸いです。
木村 浩之