侘び寂び

第22弾 原 こなみ

「侘び寂び」をテーマに、日本画家の原こなみさんが2016年4月5日から制作をスタート、ホテルに滞在しながら約4ヶ月間制作を続け、2016年7月29日に完成いたしました。
「ホテルの方々と制作協議を重ねていくうちに、私自身が制作でよく行っている硫化した銀箔と日本庭園の枯山水のイメージが結びつき、侘び寂びというテーマが生まれました。」と話す原さん。石庭として有名な京都の龍安寺の枯山水を題材に、近年アーティストが好んでモチーフとしている「流木」を庭石に見立てて描きました。また、日本画の伝統技法、画材の一つである箔を用いて、銀の箔を壁に貼り、薬品をかけて硫化させることで、壁全面を赤茶色、青などさまざまな色に変化させました。

部屋全体に描かれた流木の数は15個。石庭の白砂に描かれる砂紋(さもん)は、絵具に立体感をつけて再現しました。また、龍安寺の石庭にある15個の石が、どの角度からみても必ず1つが見えないように、このお部屋でも1個だけ流木を隠しています。化学反応で生まれた独特の渋み、風合いで、見ごたえのある世界観が表現されたお部屋。流木と銀箔の色の変化からは、人為的に操作することができない自然の美しさを感じることができます。空間全体に施した銀箔に起こる経年変化、時間の流れもこのお部屋の一部です。
アーティストルーム「侘び寂び」では、小宇宙のような空間で、非日常を体感いただけます。

Room #3104  |  完成:2016.07

Artist’s Message

この部屋に物語はありません。
この空間にあるのは、漂う流木と、箔が錆び朽ちて行く時間だけです。

東洋では、15という数字は完全を表します。
宇宙を表現しているといわれる枯山水。その代表的な龍安寺の石庭をモチーフとして配置した14個の流木は、不完全さを象徴しています。
空間全体に施した銀箔に起こる経年変化、その時間の流れも作品の一部です。

私たちは歳月に逆らうことは出来ません。
時を経て、削がれ残った本質は一体どんな姿か。
宇宙のように不完全な世界で、皆それぞれが価値を模索しながら彷徨う。
この小さな宇宙を、流木たちとともに是非漂ってみてください。

原こなみ

“日本の美意識が体感できる時空間”

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